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Zabbix 6.0の概要紹介(第一回)
投稿日 2022年05月26日
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Zabbix 6.0の概要紹介(第一回)

はじめに

こんにちは。サーバインフラエンジニアをやっております、Kと申します。
この度、弊社におけるZabbixのマーケティング活動強化の一環として、Zabbixの最新の動向や機能紹介を行うページを作ろうという話が持ち上がり、それならばと2022/2/15に正式リリースされましたZabbix 6.0の概要紹介を行う記事を投稿することになりました。
普段の業務の合間を縫っての投稿になりますため、全何回になるか分からず更新頻度も不定期になりますが、なるべく有益な記事をお届けできるよう頑張ります。

Zabbix 6.0の主要な変更点紹介

Zabbix 6.0の変更点の中で個人的に注目したい箇所を紹介いたします。
特に注目したい機能に関しては、第2回以降でより深堀りしていく予定です。
すべての変更点は下記のリンク先をご覧ください。

What's new in Zabbix 6.0.0

Release Notes for Zabbix 6.0.0

Zabbix ServerのHA(High Availability)クラスタ構成サポート
6.0の主要な変更点の中で最も注目となるであろう機能です。これまでZabbixのソフトウェア自身にはHAクラスタを構成する機能は備わっていませんでしたが、6.0で正式実装されました。
クラスタを組むこと自体はこれまでのバージョンでも可能で、Pacemaker/Corosync等、別途クラスタリング用のソフトウェアを用いる手法がメジャーでした。ではZabbix単独でのクラスタリングが可能になったことでそれらの手法は不要になるかというと、従来型の手法には従来型にしかない利点があります。
ですので、既存手法が置き換わるというよりは、あくまで選択肢が増えたというイメージで捉えて頂くのが適切だと思います。そもそもHAクラスタって何?というところも含め、詳しくは別の回で触れてまいりたいと思います。

「サービス」監視機能の改善
Zabbix5系までは「設定」セクション内の1項目であった「サービス」機能が大項目として独立しました。これにより、「サービス」の項目内で設定と監視が完結するようなメニュー構成になりました。サービス機能についてはこの他にも複数の変更点がありますが、長くなってしまうため今回は割愛させて頂きます。
なお、ここで言うサービスとはWindowsのサービスではなく企業活動等によってユーザーへ提供される財、つまりビジネスの一般用語としてのサービスを指します。

ダッシュボード上のジオロケーションマップ
ダッシュボード画面上に地理的なマップを作成し、その上に監視対象ホストの位置と障害状況を表示することが出来ます。
以前のバージョンのZabbixでもやってやれないことはないのですが、やはり非標準という事で設定にそれ相応の工夫が必要なので、Zabbixの標準機能として実装されたのは大きいポイントです。
下図はマップのサンプルです。(マーカーは適当に打ったものですので場所を特定しても何もありません。)また、このマップはZabbixのデフォルトですが、Googleマップやユーザーが独自に作成したマップを設定、選択することも可能です。

Kubernetes環境の監視サポート
Kubernetesによるコンテナ環境のモニタリングが標準機能として実装されました。KubernetesノードやPodの自動検出など、Kubernetesコンポーネントの監視が可能です。

キャプチャ.PNG
ベースライン監視とアノマリー検知
静的な閾値を使わずにアラート検知を行うアプローチが可能になりました。
ユーザーの皆様が監視設定をする上での大きな悩みどころの一つはアラート検知の閾値設定ではないかと思います。例えばCPU使用率一つ取ってみても、70%以上を異常とするのか、80%なのか90%なのか、どこからを正常と異常の境界にするかは稼働させるシステムの性質や負荷によりけりですし、ベテランのエンジニアであっても大変判断が難しい部分です。
そこでベースライン監視とアノマリー検知では特定の閾値を設けず、過去の監視データを分析して算出した情報に基づいて、「いつもと大きく異なる状態」の検知を行います。
以前のバージョンのZabbixでは監視データは一つ前の周期(一週間前、一年前など)との比較しか出来なかったのですが、ベースライン監視を活用することでより長期に渡る監視データとの比較が可能になります。

他、注意点など

対応OSについて
Zabbix 6.0のServerパッケージ(rpm)はRedhat系ではRHEL8用の物しか提供されなくなりました。RHEL7以前用のパッケージの提供予定はありません。したがって現在RHEL7以前のOS上でZabbixが稼働しており、Zabbix6.0へのリプレースを検討されているユーザーの方はOSも込みでリプレースして頂く必要があります。

対応ミドルウェアについて
Zabbix 6.0がサポートするDBとPHPのバージョン指定が以前のZabbixバージョンと比較してかなり厳しくなりました。
  • MySQL 8.0.x
  • MariaDB 10.5.x ‒ 10.6.x
  • PostgreSQL 13.x
  • Oracle 19c ‒ 21c
  • PHP 7.2.5 - 8未満
これより古いのはもちろんNGなのですが、物によってはこれより新しいバージョンを使用するのもNGな場合があります。dnf(yum)でバージョン指定せずにパッケージをインストールするとサポート外のバージョンが入ってきてしまう場合がありますので、インストールパッケージの選択には十分ご注意いただく必要があります。

おわりに

第2回では検証環境にZabbix 6.0のインストールを行ってみたいと思います。
あわよくばHA構成についても検証してみたいところです。

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